筆者はCAEを運用するために必要なステージは4段階あると考えています。
それぞれのステージを深掘りしながら説明したいと思います。
- 導入初期
- 技術構築期
- 展開期
- 定着期
導入初期
テーマ : CAEツールの選定と導入、解析の基礎知識と操作の習得
通常、数社のCAEベンダへ声をかけ、ベンチマークテスト(自社製品の簡易解析)を実施した上で、解析結果や対応の良いベンダから購入するというのが一般的かと思います。
最近はCAEツールの機能差は無くなってきていますので、知名度のあるCAEツールであれば問題ないと思います。
CAEツール導入後、技術セミナーを受講し、技術サポートを受けながら短期間で操作を習得する、また簡単な解析モデルで自社製品へ適用することができれば導入初期の目的は達成ということになります。
導入初期で重要なのはベンダのサポート対応力です。
このサポート対応力には技術と営業の2つあります。
技術サポートは当然重要ですが、実は営業サポートも(意外と)重要なのです。
営業が顧客の状況を確認しながら、技術スタッフを動かし技術支援することで、導入後の立ち上がりの速度は違ってきます。
結果として優秀な営業と否かでは導入後の運用面で大きな差が出ます。
更に言いますと、顧客の状況に応じて臨機応変に提案を重ね、時には自社製品ではなく他社製品を紹介できるのが優秀な営業だと筆者は考えています。
中期
テーマ : 解析技術の確立
具体的には、解析モデルの構築、実験との相関、解析ノウハウの蓄積となります。
CAEツールを導入後、試行錯誤しながら解析業務を重ねることで、技術サポートの協力を得ながら次第に自力で自社製品の解析を行えるようになります。
また、解析業務と並行して、解析結果の妥当性を評価するために実験との相関を見ながら解析モデルを修正し、適切なモデルを作成できるようになります。
この作業を継続することで、材料物性の取り扱いや解析と実験との相関性を理解し、他の解析モデルへ適用することができます。
その結果として、自社の解析ノウハウとして蓄積することができます。
中期ステージで重要なことは、如何に早く解析技術を確立するかです。
時間をかければ徐々に進めることができますが、会社からはできるだけ早く結果(成果)を求められます。
そこで、できるだけ早く解析技術を確立するために、外部リソースの活用をお勧めしています。
解析モデルの作成や実験との相関など、経験豊富な解析サービス会社に依頼することで、早期に必要なデータの入手とノウハウを習得することができます。
その結果として、短期間で質の高い解析技術の構築を可能にします。
展開期
テーマ : 社内展開と運用
具体的には、下記3つの取組みが必要となります。
- インフラ整備
利用者がストレスなく使えるハードとソフトを整える - 社内教育
利用者が解析業務に必要な知識とスキルが得られる仕組みをつくる - 解析業務の分業
解析業務を設計者と専任者とで分業するために運用ルールをつくる
上記3つの取組みを通じて、徐々にCAEツールの利用者を増やし成果の拡大を図ることができます。
また、継続的に取り組むことで、解析技術の構築と解析ノウハウの蓄積に繋がります。
展開期ステージで重要なことは、如何にCAEツールの有効性を利用者に理解してもらうかです。
そのために、できるだけ多くの情報や資料(解析事例、利用説明書、ヒント集など)をイントラネットを通じて利用者や社内関係者と共有することをお勧めしています。
利用者が増えなければCAEツールの稼働率が下がり、結果として費用対効果が低下し成果の拡大が見込めません。
そうならないためにも、できればプロジェクトチームが主導し、しっかりと事前準備した上でスケジュール通りに根気強く推進することが重要です。
定着期
テーマ : フロントローディング
フロントローディングと言うと敷居が高いと思われるかもしれませんが、下記3つの取組みを通じてフロントローディングの実現が見えてきます。
- データの管理と共有
社内にある膨大なデータを整理し誰でも即座に共有できる仕組みをつくる - 解析業務の効率化
定型化解析の自動化や解析モデルの再利用など解析業務を軽減する仕組みをつくる - 効果の定量化
解析業務に必要な費用と成果を算出し費用対効果を可視化する
展開期で重要なことは、社内へ定着させるためには業務の効率化を進めると共にCAEの効果を定量化することです。
CAEツールをストレスなく利用できる環境を整えることで、利用者の増加と共に成果の拡大が見込めます。
また、設計の初期段階でCAEツールを利用することで、即座に何度もDR(デザインレビュー)ができるため、結果的に手戻りの低減に繋がります。
フロントローディングとは、設計業務のピークを前倒しにすることで、開発期間の短縮や品質の向上などの効果を最大化することです。
闇雲にフロントローディングを目指すのではなく、定着期の成果としてフロントローディングの実現があると捉えてはいかがでしょうか。