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2020/07/23

CAEの活用について考える

いきなりですが、CAEを活用できず悩んでいる企業は意外と多いのではないでしょうか。

そこで、CAEを導入したにもかかわらず、なぜ活用できていないのか、またどうすれば活用できるのか、について考えたいと思います。

足元の課題解決も大切ですが、先ずは「あるべき姿」を定義し、現状とのギャップをしっかりと把握することから始めるべきだと思います。

「あるべき姿」の定義として、組織体制、インフラ(SW/HW)、運用(教育/ルール)、ROI(効果測定)の4つを軸に考えてみてはいかがでしょうか。
それぞれを明確に定義することで全体像が見えてくると思います。

それでは、この4つの軸について話をしたいと思います。

 

「あるべき姿」:組織体制
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先ずは、CAEを活用する上で組織体制をどうするかを考える必要があります。

下記3つについて考えてはいかがでしょうか。

・CAE推進部門の設置
・CAE担当の配置
・CAE利用者の範囲(開発、設計、生技)

CAE推進部門やCAE担当を設置していない企業も見受けられます。
過去の経験上、他業務との兼務ではなくCAE担当を配置し、責任と権限を与えて集中させるべきだと思います。

当然、会社ごとに組織やリソースが異なりますので、自社に見合った組織体制を考えなければなりません。

 

「あるべき姿」:インフラ(SW/HW)
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組織体制の構築と共に考えなければならないのがインフラです。
組織体制に応じて必要なCAEソフトやパソコンを整備する必要があります。

解析分野によって適したCAEソフトは異なります。
また、解析の対象物や詳細度によっては解析規模が大きくなるため高スペックのハードが必要になるかもしれません。
自社の製品と解析内容を理解し、適切なCAEソフトやハードを選定する必要があります。

一番重要なのは購入先の選定です。
CAEを利用する上で技術サポートは非常に重要ですので、購入先の技術力やサポート体制を吟味しなければなりません。

とはいえ、数多ある業者を選定することは容易ではありませんので、第三者からの意見を聞くことをお勧めします。

 

「あるべき姿」:運用(教育/ルール)
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社内でCAEを運用するためには、下記3つの項目について具現化し、利用者に理解してもらうことが重要だと考えます。

・目的:期待する成果
・教育:必要な知識、習得方法
・ルール:役割分担、利用規定

また、情報の共有化についても考える必要があります。
例えば、必要な情報を定期的にイントラ上に掲載する、また情報交換を目的とした交流会など色々な試みが考えられます。

利用者が欲しい情報を直ぐに得られる仕組みを作ることで、結果的に利用者の増加と利用促進に繋がります。

 

「あるべき姿」:ROI(効果測定)
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CAEの費用対効果を算出するのは容易ではありません。
算出方法について頭を悩ませている方が多いのではないでしょうか。

各社共に解析の対象となる製品はもちろん技術リソースや運用方法も異なります。
よって、他社の適用事例をそのまま自社へ適用できないのは当然だと思います。

下記3つについて考えてはいかがでしょうか。

・費用の測定指標(試作、実験、SW/HWなど)
・効果の測定指標(品質向上、コスト削減、納期短縮など)
・間接効果(企業イメージの向上、技術力の向上など)

自社にあった測定指標を決めて、定点観察(データ収集)を継続することが重要だと思います。
また、成果を出しやすい解析テーマから取組むことをお勧めします。